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「年内2%切り下げ」越首相発言に見る為替相場運営の“方針転換”
Nguyen Tan Dung首相は9月27日、ニューヨークでBloombergの取材に対し、現在ベトナムドンが、米ドルに対し高く評価されていることから、年末に最大2%の切り下げを行なう計画だと述べた。この短いメッセージには、様々な重要な意味が秘められている。
■外貨需給バランスのみで判断
これまで多くの担当官僚また専門家は、ODAや外国直接投資、国外在住者からの送金など、潤沢な供給により外貨の需給バランスは安定しており、切り下げ(または為替相場の調整)をしなければならない圧力はない、と述べていた。
今年は国際収支が数十億ドルの黒字になり、インフレも許容範囲内に抑制できる見通しであり、これら担当官僚や専門家は、為替相場を調整すれば、経済に悪影響をもたらしかねないとさえ指摘していた。
この為替相場運営の観点として注意すべきなのは、為替相場が主に、外貨需給により受動的に決められるということである。外貨が経済に潤沢に流れ込むなら切り下げ圧力は弱くまたは生じず、逆に外貨供給が需要に足りず、為替相場に圧力を与えるなら、国家銀行は外貨準備を放出して、為替相場の安定に介入する可能性がある。
実際ここ2~3年は、このような為替相場の管理がなされていた。規模的に大きくなった外貨準備を後ろ盾に、国家銀行はかなり安定した為替相場運営に成功してきた。外国からベトナムに入る資金が大きくなるほど、国家銀行の仕事は簡単になるようだった。通貨に切り下げ圧力が生じないからだ。一方、外貨需給が数年前のように不利になれば、国家銀行は切り下げを余儀なくされた。それ以前に「為替相場を安定させる」と何度も約束していてもだ。
■実質的な価値上昇による輸出への影響
しかしこの為替相場運営には、大きな弱点があった。ベトナムドンと米ドルの名目相場が比較的安定、または両国のインフレ差の開く速度よりドル相場の上昇ペースが遅ければ、ベトナムドンが米ドルに対し価値を落としているように見えても、実際は米ドルに対し価値を上げていることになる。こうなると国内で生産される商品は輸入品より割高になり、競争力を失う。そして、輸入が奨励されるなかで輸出が減少し、貿易赤字がマクロ経済の不安定を引き起こす。
現在もなお、国家銀行や専門家は、この為替相場安定のマイナスの影響を軽く見ている節がある。彼らが常々口にするのは、輸出と経済成長、雇用を支えるための切り下げの必要性を否定するための潤沢な外貨供給の話である。為替相場が輸出に与える不利を認めることはあっても、切り下げずとも、輸出を促進する他の方法があると言う。
■方針転換の第1歩
そのため首相発言は、直接的にも、間接的にも、為替相場運営には外貨の需給バランス以外に、輸出品の競争力維持が重要だと認めたことになる。これは、非常に歓迎すべき政策の立場の変化と言える。為替相場が、外貨需給だけに基づかず、米ドルに対する実質的な価値上昇にも拠り、よりバランスのとれた相場運営がなされるようになるからだ。
ベトナムと米国のインフレの差は非常に大きく、その度合いはさらに広がる可能性がある。そこから見ると、首相が言及した2%切り下げは、実質的な米ドルに対する価値の上昇分から見て、小さすぎるかもしれない。
しかしそれはまずは、ベトナムの担当機関が、為替相場運営に対する認識を改める、または自らの為替相場運営に対する国民への説明の方法を変えるべき時が来たということだろう。外貨の需給が、いくら赤字、黒字である、ということだけを言うのではなく、このような為替相場で輸出に有利なのか、ということを見せねばならない。この変更は、首相の為替相場運営の指導と一致すべく不可欠であり、また政策に対する国民の信頼を生むものになる。
HOTNAMから
http://www.hotnam.com/news/131004033537.html
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